「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の呪文の語源を一覧化しました。第3巻「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」はちょうど物語の中盤。呪文もたくさん出てきますよ。ハーマイオニーが使う魔法グッズも物語の重要な鍵になってきます。
呪文の意味や語源を本と比較しながら見てみましょう
炎凍結術(Flame-Freezing Charm)
邦訳版p6で登場しますが、邦訳版には呪文そのものは出てきません。
中世から近世にかけての魔女狩りの時期に火あぶりの刑があったのは有名です。
この事実に基づいてハリー・ポッターでは魔女には火あぶりの刑は効果がなかったという設定がなされています。物語に登場するバチルダ・バグショット著「魔法史」に寄れば、炎凍結術は火あぶりにされても平気になり、「柔らかくくすぐるような炎の感触」と表現されています。
英語で「Flame-Freezing」は「炎凍結」、ラテン語「Charm」が「言葉」となります。
「ワディワジ」(Waddiwasi)逆詰め
逆詰め呪文です。邦訳版p172~173でポルターガイストのピーブズがいたずらで扉の鍵穴にチューインガムを詰め込んでいましたね。注意しても聞かないピーブズにルーピン先生が放った呪文がこれ。詰めたものが詰めた人に詰め替えされます。
鍵穴のチューインガムは見事にピーブズの鼻の中へ。
派手な呪文ではありませんが、何かのときに使えそう。
「リディクラス」(Riddikulus)ばかばかしい
邦訳版p176でルーピン先生がまね妖怪対策呪文を教えてくれましたね。
この呪文がそれです。まね妖怪は形態模写妖怪といわれ、対峙する相手の最も怖いものを見抜き、その姿に自分の姿を変えてくる妖怪です。
この呪文は心の中におもしろいもの、滑稽なことを思い浮かべると退治できます。
映画では「ばか笑い」と訳されています。
ラテン語に「ridiculis」という言葉があります。
意味は「おかしいです」「ばかばかしい」という意味があります。
「インパービアス」(Impervius)防水せよ
水をはじことのできる呪文で、邦訳版p230に登場します。雨の中のクィディッチ対策でハーマイオニーがハリーの眼鏡に施した呪文ですね。第7巻でも防火目的で登場します。
ラテン語「IMPERVIUS」だと「防水」の意味があります。
「アレスト・モメンタム」(Aresto momentum)動きよ、止まれ
クィディッチ最中にハリーが吸魂鬼に襲われるシーンがありましたね。
ダンブルドアが箒から落ちるハリーを助けようと使用した呪文です。
映画オリジナル呪文です。
小説の方にはハーマイオニーがそのシーンを説明するくだりがありますが呪文そのものはありません。邦訳版ではp235にあたります。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』でも登場します。
ラテン語「Aresto」が「停止」、「momentum」には「現時点」「瞬間」という意味があります。「時よ、止まれ」といったニュアンスでしょうね。
「われ、ここに誓う。われ、よからぬことをたくらむ者なり」(I solemnly swear that I am up to no good.)
フレッドとジョージからハリーが忍びの地図を貰い受けます。普段は何もかかれていないボロボロの羊皮紙なのですが、この呪文を唱えるとホグワーツ城と敷地全体の地図が現れます。
映画では「われ、よからぬことをたくらむ者なり」となっています。
呪文はそのまま英語です。
「いたずら完了!」(Mischief managed!)
忍びの地図を使った後、この呪文を忘れてはいけません。地図をただのボロボロの羊皮紙に戻す呪文です。
呪文はそのまま英語です。
「ディセンディウム」(Dissendium)降下
ホグワーツに隻眼の魔女の像があります。この像を軽く叩きながらこの呪文を唱えるとホグワーツからホグズミードのハニーデュークス店へ行く抜け道が開きます。滑り台みたいになっていて降りていくので「降下」ということでしょうね。
映画では『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』で「分解せよ」と訳されています。
ラテン語「descendere」「descend」には「下ろす」「下りる」の意味があります。
「モビリアーブス」(Mobiliarbus)木よ動け
木を動かす呪文です。邦訳版p261に登場します。居酒屋「三本の箒」で先生や大臣からハリー、ロン、ハーマイオニーを隠すためにハーマイオニーが唱えます。ラテン語「 mobilis」が「可動」とか「移動体」「携帯」という意味があります。またラテン語「arbor」には「木」という意味があります。「Mobiliarbus」はこれらの造語ですね。
「エクスペクト・パトローナム」(Expecto patronum)守護霊よ来たれ
守護霊を創り出す呪文です。邦訳版p309から出てきます。
守護霊は銀白色で半透明です。守護霊を出現させる技術は高度です。
この呪文のポイントは幸福なことを思い浮かべる事ですので使い手の精神状態が大きく影響するものといえます。
ハリーはルーピン先生と吸魂鬼に立ち向かうべく練習しますよ。
この守護霊、死喰い人には出すことができません。スネイプ先生を除いては。
なぜスネイプ先生が守護霊を出せるのか?
物語の鍵と密接に関わっているんですよね。
「Expecto」はラテン語で「私は~を期待する」という意味があります。
「patronum」もラテン語で「守護」という意味があります。
守護霊の形状は各個人でことなります。ハリーは牡鹿。父・ジェームスと同じです。
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」でダンブルドア軍団が結成され、この守護霊の呪文の練習します。
元気の出る呪文(Cheering Charm)
邦訳版p382に登場しますが、呪文そのものは出てきません。
この呪文を唱えるとニコニコ大満足の気分になる呪文です。
英語やラテン語で「Cheering 」が「応援」、ラテン語で「Charm」は「言葉」を意味します。
「ノックス」(Nox)闇よ
「ルーモス」の反対呪文です。杖に灯した明かりを消す事ができます。
ラテン語で「夜」の意味があります。
「フェルーラ」(Ferula)巻け
対象に包帯を巻くための呪文です。邦訳版p490でルーピン先生がロンに包帯を巻いてあげていましたね。
ラテン語「Ferula」はハーブ「フェンネル」の意味があります。
フェンネル(和名:ウイキョウ)は整腸作用や発汗、利尿作用のあるハーブです。
これだとあまり状況的に意味が合いませんね。
「Férula」だとスペイン語で「むち」、ポルトガル語で「フェルラ」の意味があります。「フェルラ」とは医療用語で骨折時に使う添木の意味があるのでここがこの呪文の語源かなと思われます。
「巻け」というより、「骨折処置」とか「副木」とか「添木よ出でよ」とかのほうが語源は分かりやすかったかもしれませんね。
「モビリコーパス」(Mobilicorpus)体よ動け
叫びの屋敷で気絶したスネイプ先生を運ぶためにルーピン先生が唱えた呪文です。邦訳版p491に登場します。呪文対象の体をふわふわ浮かせ、運ぶ事ができます。スネイプ先生を運んだのはシリウスですね。
「アロホモラ」(Alohomora)開け
鍵のかかった窓や扉を開くことができます。
邦訳版p541で登場します。これで部屋に閉じ込められたシリウスを助け出します。
映画では「ボンバーダ」を使っています。
「ボンバーダ」(Bombarda)砕けよ
シリウスを閉じ込めた牢をハーマイオニーがこの呪文で破壊しましたね。
シリウスを閉じ込めている牢を破壊するためにハーマイオニーが使用した呪文。
「アズカバンの囚人」重要魔法アイテム
・逆転時計(time turner、タイムターナー)
これのおかげでシリウスは助かりましたね。時間を逆戻しすることができます。
ハーマイオニーはたくさんの授業をとるために特別に魔法省からマクゴナガル先生が借りてくれたものです。
まとめ
・呪文はラテン語由来の造語が多く、英語もある。
・巻を追うごとに呪文の種類が多くなっている。
・タイムターナーが「アズカバンの囚人」でのキーアイテムとなる。
2016年のハリー・ポッタースピンオフ映画「Fantastic Beasts And Where To Find Them」(ファンタスティック・ビースト・アンド・ホエア・トゥ・ファインド・ゼム)のキャストも決まってきましたね!2016年ハリー・ポッター祭りで魔法界の復習をしておきたいと思います。
参考文献:「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」2001年7月18日初版、出版社静山社
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